三年前の写真が見つかったので。
写真がぶれまくり。
2007年2月某日、某県にある酒蔵が年に一度の蔵開きということもあり始発電車を乗りついで到着。
目の前で発酵が進むタンクの、かきまぜたモロミを長柄杓より汲みだした、濾過どころか搾る以前の原初の酒である。
酒の個性、磨き抜かれた米の奥底に隠れた複雑なる風味など意味を持たない雑塊である。精錬された日本酒を尊ぶものからすれば一笑に付してしまうような代物だろう。だが、これはこの場この時でしか口にすることのできない味だ。
洗練という言葉とは無縁の、野暮極まりない自分にとって、この時に汲みだされた原初の酒が持つインパクトは三年経った今でも忘れられない。