それは偶然の産物。 「……冗談、だろ」  空間転移術。  それは時空の壁を跳躍する、ある意味で禁断の術。制御は難しく、達人と呼ばれる者でも一歩間違えれば空間の歪みに巻き込まれることになる。術式の制御に絶対的な評価を受けている村上文彦でも、例外ではない。  眼前に広がるは、広大な草原。そして眼下に広がる古風な城塞都市。重厚な鎧を着た軍隊に、それを蹂躙する異形の魔獣たち。  数秒前まで、彼は犬上の街にいた。 「どうなってんだ、こいつは」 『成功である』  声は足下から。  見れば、二足歩行の猫達が怪しげなる魔法円を描き、怪しげなる呪文を唱えていた。 『異世界からの邪悪生物に召喚成功であるーっ』 『やりましたね王様ーっ』 「ちょっとまて哺乳類」  はしゃぐ猫たちを捕まえる文彦。 「説明しろ。さもなきゃ、とっとと還せ」 『説明するには時間が足りぬし、還そうにも方法が分からん』きっぱりと答える猫『なにより、眼前に迫った危機を乗り切るのが第一ではあるまいか?』 「のわーっ!」  迫ってくるのは、巨大な石組みの人形達。文彦は喋る猫たちを抱えると、大慌てで逃げ始めた。      嘘企画 ShadowMaster in Cepland 〜 Nicorous vs Fumihiko      近日公開予定なし