『ふっかつのじゅもん』  あるとき、死にかけの子豚がまな板の上でこんなことを考えた。 「ねえ」  考えただけでは飽き足らず、子豚は料理人に呼びかけた。 「どうして空にある星は地面に落ちてこないのかな」  料理人はしばし考えた。  考えたくらいで真実が見えるはずはない。  なにしろ料理人は料理を作るのが仕事だったので、子豚の問いには答えず、きっちりとトドメをさしてから子豚を美味しく調理した。